先月、第7回目となる会議が開催されました。空の移動革命と仰々しい名前を付けていますが、その内容としては、日本における「空飛ぶクルマ」の実現に向けて、官民で話し合うものです。
本会議は、腰の重い国土交通省を、経済産業省が巻き込む形で、2年前の夏頃、第1回がスタートしました。当初の構成員は、ベンチャー企業など、少々異質な集まりでしたが、数回の会議を経て、ずいぶんと様変わりしました。
空の移動革命に向けた官民協議会の開催状況については、こちらで公開されています。
今年度初めての開催だったため、昨年度(2020年度)の検討状況がまとめられておりました。実務者による協議会と冠するものの、実務的な話し合いはほとんどなく、具体的な進捗はほとんどありませんでした。
この点を一手に担うのが国土交通省の航空局ですが、こちらも「空飛ぶクルマ」の専門の部隊があるわけでもなく、担当レベルにすべて丸投げされているようです。担当官僚はさぞ大変な思いをされていることでしょう。これではFAAやEASAなどのルールメーカーと同等に議論することはできません。日本のレギュレーションが欧米のコピー版である所以です。
そんな中で、今回初めて「大阪・関西万博」という具体的な目標が設定されたのは非常に好印象です。2025年の開催時期も、欧米の進捗状況を考えると、丁度いい頃合いだと思います。恐らく、11条但し書きなどで、テンポラリなフライトになりそうですが。
また、今回の会議で特筆するべきは、新規構成員として、トヨタや外資ベンチャーをはじめとする有力企業が加わったことです。
(3)新規構成員によるプレゼンテーション
https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku10_hh_000199.html
第7回会合より下記の事業者が新たに構成員に加わり、それぞれの事業者からビジネスモデルについてプレゼンテーションがおこなわれました。
[1]トヨタ自動車株式会社
[2]Joby Aviation
[3]Volocopter
[4]GMOインターネット株式会社
[5]兼松株式会社
[6]エアロファシリティー株式会社
[7]株式会社スカイワード・オブ・モビリティーズ
[8]東京海上日動火災保険株式会社
[9]三井住友海上火災保険株式会社
[10]あいおいニッセイ同和損保株式会社
やはりVolocopterは頭一つ抜けている印象です。この分野では後進国である日本の協議会に、わざわざ参加した意図は何なのでしょうか?
損保会社は、自動車保険と航空保険を組み合わせた新たなスキームを狙っているのでしょうか?各社の資料を見てみると、東京海上は航空保険として捉えているようで、あいおいニッセイ同和は、自動車保険の延長線上に捉えているようでした。この辺りは、やはり東京海上のほうが航空保険のノウハウがあるでしょうし、スキームにも差が出てきそうです。
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